タロットカードに描かれる花々のお話し~その2~

タロットカードに描かれる花々のお話し、第二話です。

ライダータロットの大アルカナ、20番目のカード、ナンバリング19の「太陽」。

このカードには、ヒマワリの花が描かれています。

ヒマワリ、英語でサンフワラー、「太陽の花」と呼ばれています。

ギリシア時代には、太陽神アポロンと結び付けられ、神話の中では「太陽を崇拝(すうはい)する花」としても登場します。

太陽とそのエネルギーを象徴(しょうちょう)するものとして、ヒマワリがこのアルカナの絵柄をより一層、強調(きょうちょう)する働きを担(にな)っています。

タロットカードと、数秘術(すうひじゅつ)は密接(みっせつ)につながっていると言われます。

数秘術的観点から、この絵柄を観てみると、先ず、塀(へい)の上から見えるヒマワリの花は四つ。

四と言う数字は、四方向、四周期を表していると、数秘術的には解釈(かいしゃく)することが出来ます。

四方向とは、東西南北、四周期とは春夏秋冬の季節の巡(めぐ)り。

つまり、ヒマワリを四本描くことで、空間的、時間的な広がりを感じさせる効果を狙(ねら)っているとも受け取れます。

また、赤ん坊の頭に注目すると、この子はリース(花冠)をかぶっており、そのリースには六つのヒマワリの花が描かれています。

塀から見える四本のヒマワリと、赤ん坊の花冠(はなかんむり)の六つのヒマワリの花を合計すると10。

「10」という数字は、完成、完全性を象徴する円を表す数字でもあります。

こうして、この「太陽」の絵柄の中に描かれた10本のヒマワリは、このカードが表す成功、生命力、天真爛漫(てんしんらんまん)さ、健康などの事柄(ことがら)を、より強く印象付けているとも受け取ることが出来ます。

この赤ん坊は、白馬にまたがっています。

馬は生命力を表すのに相応(ふさわ)しい動物です。

タロットカードに詳(くわ)しい方は、白馬という言葉から、「死神」のカードを連想される方もいらっシャツでしょう。

タロットカード、大アルカナ14番目のカード、ナンバリング13の「死神」。

このカードの中で、死神は白馬にまたがり、逆さまのミスティックローズの描かれた旗を持って、屍(しかばね)を踏(ふ)みながら凱旋(がいせん)するかのように行進しています。

死神の背後には、昇(のぼ)る朝日が描かれ、このカードの中に「死と再生」を見出すことが出来ます。

そして、「太陽」のカードにも、白馬が描かれています。

白馬には、元気の良い赤ん坊が赤い旗を持ってまたがっています。

「赤」は生命力を表す色であり、ひらひらと風になびく赤い旗が、よりこのカードの意味を強めています。

「死神」とは真逆の、生命力の象徴ともいえる赤ん坊、白馬、それらを背後から強力に照らす太陽。

太陽の中には顔が描かれ、真正面(ましょうめん)を見据(みす)えています。

しかし、白馬を良く見ると、純白(じゅんぱく)ではないことに気づきます。

エネルギーに満ちた世界を表す「太陽」のカードの中にも、対極的な「死」を連想させるものを描くことで、ライダー・ウエイト版のタロットカードは、より深く味わい深いものとなっています。

余談ではありますが、白馬つながりでもう一つだけ連想されるのは「カップのナイト」です。

杖、剣、カップ、金貨の四枚の「ナイト」はそれぞれ、馬にまたがっている絵柄なのですが、「カップのナイト」がまたがっている白馬は、頭が少し下向きであること以外は、ほぼ、死神のカードの白馬と同じ体勢(たいせい)で、カップのナイトを載せています。

興味深い一致(いっち)であると思いませんか?

いずれ、「タロットカードに描かれた動物のお話し」の項(こう)を設(もう)けて、考察(こうさつ)したいと思っています。

さて、タロットに描かれているヒマワリの花というと、「杖のクイーン」も忘れてはいけません。

「杖のクイーン」は、右手に杖を、左手にはヒマワリの花を持っています。

彼女が座っている椅子には、二頭のライオン、獅子(しし)が彫刻(ちょうこく)されています。

タロットカードと数秘術が密接につながっていると、先ほど述べましたが、実はタロットカードは占星術(せんせいじゅつ)ともつながりを見出すことが可能です。

占星術の世界では、太陽という惑星(わくせい)は獅子座と関連付けて考えられる天体(てんたい)です。

獅子座という星座宮の支配星が太陽なのです。

そして、サンフラワー、ヒマワリを持つ「杖のクイーン」が座る椅子には、ライオン、まさに獅子が彫刻されているのです。

彼女の足元には、ジブリ映画で有名な「魔女の宅急便」のジジを思わせる黒猫が座っています。

この「杖のクイーン」の絵柄をご覧(らん)になって、足元に居る猫から、古代エジプトの「パステト神」を連想(れんそう)される方もいらっしゃるでしょう。

「パステト神」は猫の神として知られ、太陽神ラーの娘、あるいは妻、妹とも言われています。

始めは雌ライオンの頭を持つ姿で描かれていたものが、次第に猫の頭を持つ姿で描かれるようになったとも。

ここでも、黒猫から、「太陽」のワードが出てくるんですね。

さて、ヒマワリです。

「杖のクイーン」が、ヒマワリを持っていることから、このクイーンは朗(ほが)らかで、天真爛漫(てんしんらんまん)な女性であると想像できます。

実際、実占において、このカードが出てくる状況(じょうきょう)は、杖が表す「情熱(じょうねつ)」が事態(じたい)を牽引(けんいん)するようなシチュエーションが多いのですが、その後の展開(てんかい)を質問者さん、関係する人々が、明るいものと考え、意欲的(いよくてき)に取り組もうとしている場合が多いと感じます。

良い意味での楽観性(らっかんせい)というか、「為(な)せば成(な)る」的なポジティブな意思を感じます。

ヒマワリという、太陽に常に顔を向けている花が描かれたカードには、そういった明るさ、屈託(くったく)の無さが感じられます。

ただ、「太陽」も「杖のクイーン」も、正位置であれば、とてもポジティブなエネルギーを表すカードなのですが、逆位置になると、もともとが強力なエネルギーを持つカードゆえに、マイナス面も大きくなります。

「太陽」「杖のクイーン」ともに、逆位置の意味に「我儘(わがまま)」「自己中心的(じこちゅうしんてき)」というものがあるのは、まさにと言う感じです。

そもそも、タロットカードは、正位置と逆位置で、意味するものが非常に違(ちが)ってきます、

正位置の長所(ちょうしょ)が、逆位置になると短所(たんしょ)をより増幅(ぞうふく)させているような、「あちゃ~」という印象(いんしょう)になるカードも多々、存在します。

こういった、二元的(にげんてき)な世界観(せかいかん)は、実はカバラ数秘術にも通じるもので、カバラ数秘術的には、男性原理(だんせいげんり)、女性原理(じょせいげんり)という表現をします。

ただ、カバラ的な男性原理、女性原理は、ポジティブ、ネガティブと分けられるものではありません。

むしろ、真逆(まぎゃく)のエネルギーで構成(こうせい)されている、私たちの世界においては、バランスを取ることが大切であると考えるのです。

それゆえに、タロットカードが正位置と逆位置で、非常に意味が異(こと)なる背景(はいけい)には、バランスが大切であるという教訓(きょうくん)を内包(ないほう)しているとも考えられます。

今回は、タロットカードに描かれる花々のお話し、第二話として、ヒマワリの花についていろいろ、解説してみました。

解説部分が多く、説明的で恐縮(きょうしゅく)です。

最後に、私見(しけん)ではありますが、タロットカードについて、私が思っていることをお話しして、この章を締(し)めくくりたいと思います。

タロットカードに親しみたいとお考えの方が、タロットカードのデッキのカード数78枚、という数の多さを知ったとき、「多い」とお感じになられ、意欲を削(そ)がれるという経験をされる方はかなりいらっしゃると思います。

実際、大アルカナ22枚、数字カード40枚、人物カード16枚と、一体との部分からアプローチしたらいいの?と、頭を抱(かか)えてしまうかもしれませんね。

まずは、大アルカナ22枚について、意味をザックリとても把握(はあく)できたら、一人占いは出来ると思いますよ。

ここで、「意味をザックリと把握」と書きましたが、これ、大切です。

というか、むしろ、あまり意味を調べ過(す)ぎない方が良いとも思います。

極論(きょくろん)するなら、タロットカードの数だけ、ご自分にとっての意味があると、お考えになられても良いのではないか、とさえ思っています。

精神的にも、時間的にも、ある程度の余裕(よゆう)が必要にはなるのですが、大アルカナのカードを、一日一枚で構いませんので、じーっと眺(なが)めるお時間を持たれると良いと思います。

カードから何を感じるのか、感じたことから連想されるものは何なのか、ということを思いめぐらせる時間をお持ちになることで、タロットカードと確実に仲良くなれると思います。

そして、デッキの中に、好きだなと思えたり、何か気になると感じるカードが有れば、そのカードを大切になさってください。

きっと、そのカードに惹(ひ)きつけられたことの意味あいが分かる日が来ることでしょう。

カードに親しむ日々を重(かさ)ねて行かれるうちに、「私とこのカードは何か、似(に)ている気がする」とか、「私を表すカードはこのカードかな?」などど感じるカードに出会うことも有るでしょう。

私の場合、おこがましくも、そのカードは最初「女教皇(じょきょうこう)」でした。

自分自身が占い師を目指していたことも関係あるかもしれません。

皆様にとって、タロットカードが、良い導(みちび)き手(て)となることを祈(いの)りつつ、今夜のお話しは、ここまでとさせていただきます。

それでは、また、ブログでお会いしましょう!