昨年の6月7日に、「タロットカードに描かれる花々のお話」というテーマでブログをアップしました。
続き物のブログとして、コンスタントにアップしていくことを予定していましたが、「その2」を6月21日にアップして以来、途切(とぎ)れてしまい、忸怩(じくじ)たる思いでおりました。
続きをご覧いただくことが出来ず、大変申し訳ございませんでした。
今回、「その3」として、朝顔の花を取り上げてみたいと思います。
当初、考えていたように、続き物のブログとして、これからは、少なくとも月に一度のペースで、この「洋子のタロット夜話」をブログアップしていきたいと思っています。
さて、今夜、取り上げるタロットカードに描かれている花は、「朝顔」です。
タロットカードの全78枚の中で、主要なカードとして、「大アルカナ」のカードがありますが、0番「愚者」から、21番「世界」までの、22枚で構成されています。
今回取り上げる、「朝顔」の花が描かれているのは、0番「愚者」です。
このカードが占断で、正位置で出てくる時は、新(あら)たな一歩を踏(ふ)み出す勇気が必要なときであると感じます。
正位置の意味として、「自由奔放(じゆうほんぽう)」「冒険」無邪気(むじゃき)さ」「白紙(はくし)に戻(もど)す」などがありますが、先入観(せんにゅうかん)にとらわれず、自分の殻(から)を破(やぶ)ることで道が開ける、そんな時期にこのカードが、お客様の肩を押す役割を担(にな)って、出現(しゅつげん)することが多いと思います。
「愚者」のカードには、切り立った崖(がけ)の上で、一歩前に踏み出そうとしているような若者と、その足元には白い犬が描かれています。
そして、この若者が来ている衣服には朝顔の花が描かれ、左手には白い薔薇(ばら)の花、背後(はいご)の太陽も白く描かれています。
「朝顔」は、朝そのものを象徴(しょうちょう)する花で、新生児や幼児期を表しています。
朝顔の絵柄の衣服を着たこの若者は、まさにこれから冒険の旅に出ようとしている、未熟(みじゅく)ではあるものの可能性に満ちた存在(そんざい)であることが伝わってきます。
白い犬、白い薔薇の花、白い太陽などの「白」も、このカードにおいて、大切なメッセージを伝えているようです。
「白」は、悪意(あくい)の無いこと、汚(けが)れ無さ、純粋無垢(じゅんすいむく)を表しているとも言われます。
犬は、古来より人間と暮らし、家畜とは別の、人間の伴侶というポジションの動物です。
この白い子犬は、若者と一緒にいることが嬉しくてたまらないかのように、小躍(こおど)りしているように見えます。
同時に、若者が崖(がけ)の先に進んでいかないよう、警告(けいこく)しているようでもあります。
若者が左手に持っている、白い薔薇の花についても考えてみましょう。
薔薇は世界各地で家紋(かもん)や寺院の紋章(もんしょう)に多用(たよう)されている、崇高(すうこう)な精神性(せいしんせい)の象徴として描かれる花です。
白い薔薇は、まだ成長途上のこの若者が、清らかな心を持っていること、高みを目指そうとしていることを表しているのです。
そして、白い太陽は、他のカード(「死神、節制、太陽)で描かれている黄色い太陽とは、全く別物として考える必要があるかもしれません。
この白い太陽と似た描かれ方をしている光として、「吊るされた人」のカードにおいて、吊るされている男性の頭の部分に描かれた後光を思い浮かべる方もいらっしゃるかもしれません。
ただし、この「吊るされた人」のカードに描かれた後光は、白ではなく黄色です。
タロットカードの成立には、ユダヤの神秘思想「カバラ」が深くかかわっていますが、このユダヤ教において、信徒が一体化したいと望む、宇宙の創造主としての光、「無限光」というものが有ります。
ざっくりとですが、キリスト教が、「神の子イエスを通して、罪をあがない、天国に行くことが救い」であるのに対し、ユダヤ教いおいては、「自分自身の霊的な成長や進化によって、地上を天国に変えていく」ことを目指していると考えます。
このユダヤ教における目指すべき境地を絵柄に表したのが、この白い太陽かもしれません。
なんだか、小難しい話になってきてしまいましたので。「朝顔」に戻りましょう。
朝顔の絵柄の衣服を身にまとったこの若者が描かれた「愚者」のカードが私たちに伝えたいメッセージとは何なのかについて、考えます。
「朝顔のような、子供の心、童心(どうしん)に帰って、現世(げんせ)のしがらみや執着(しゅうちゃく)から自分を解(と)き放(はな)ち、魂(たましい)を解放(かいほう)せよ」ということかな、と思います。
「頭を空っぽにして、気持ちの赴(おもむ)くままに、進んでごらん」と呼び掛けているようにも感じられます。
「愚者」は、トランプのジョーカーにも通じるカードで、大アルカナ22枚の中でも、なんだか気になるカードです。
タロットカードの大アルカナ22枚は、若く未熟な若者が波乱の中で成長を遂げていく物語が描かれているとも言われます。
そのスタート地点とも言え、朝顔の花、白いモチーフが象徴的に描かれた「愚者」のカードは、私たちに、いくつになっても、無邪気さを忘れるな、常識や枠にとらわれず、思いつくまま自由に動いてごらん、そして思い切って未知の世界に飛び込んでごらん、と呼び掛けているのかもしれません。
これからも、タロットカードに描かれたモチーフを手掛かりに、タロットカードが私たちに送っているメッセージを読み解いていきたいと思います。
それでは、また、ブログでお会いしましょう!