昨日、掛川の事任八幡宮(ことのままはちまんぐう)にお参りさせていただきました。
事任八幡宮は、西暦190年に鎮座され、807年に、坂上田村麻呂が蝦夷征伐に東に下った際に、桓武天皇の勅を奉じ、本宮山より現在の地にご遷宮されたと伝えられる、由緒正しいお宮様です。
平安時代に書かれた「枕草子」にも登場し、「願いごとのままに叶う有り難い言霊の社」として、京にも知れ渡っていたようです。
「枕草子」の中で、清少納言は、このお宮のことを、「ことのままの明神、いとたのもし」と述べています。
この部分を読むと、清少納言が事任八幡宮の力を評価し、感嘆している様に見え、「願いが言のままに叶う」を根拠づけているように見えますね。
事任八幡宮の主祭神である己等乃麻知比売命(ことのまちひめのみこと)は、言の葉を通して世の人々に加護を賜う「ことよさし」の神として敬われています。
「ことよさし」という言葉は「ことよす」という語にさらに敬意を含めたもので、「高い神が御言葉を以て、また事になぞられて顕世に御力をする、真を伝えられる」の意味で、記紀にしばしば用いられています。
すなわち天の声を己等乃麻知比売命が人々に伝えるというのが正確であり、人々の知るところとは逆の意味になります。
つまるところ、清少納言は己等乃麻知比売命が人々の願いを天に伝えるという誤った解釈が世間に広まったことを、皮肉を込めて書き綴ったものが「枕草子」であるという主張が正解のようです。
ただ、今日でも「願いが言のままに叶う」として参拝する客が多いお宮様です。
私も、その一人。
お参りだけでなく、ご祈祷もしていただきました。
「願いが言のままに叶う」ということを望んでというようりは、「言霊のパワーを良い方向に用いて、お客様のお幸せのお手伝いができるように」と、商売繁盛のご祈祷をしていただきました。
事任八幡宮は、境内に大樹がたくさん、あるお宮です。
こちらは大楠。
この大楠の幹の太さを拝見するだけで、この社の歴史を実感しますね。
向かいの山の中腹に、本宮様が鎮座しています。
271段ある、山道を登ると、本宮様をお参りすることが出来ます。
社務所で、「福の神」という紙をいただいて、本宮様の前に敷いてある白い石を三個、拾って磨きます。
一つ目は神様のため。
二つ目は、皆のため。
三つ目は、自分のため。
社務所の方によると、三つ目の自分のために磨くというのは「自分を磨く」という意味もあるとのこと。
そして、磨いた石を本宮様の近くに置かせていただきます。